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ロングパスを活かす仕組み(後篇)

CL予選、第2戦:レヴァークーゼン対ラツィオ、2点目のシーン

27. August 2015

キャプチャ3

ブログの性質上、写真が2枚までと決まっているいるようなので、前回からの続きである。

写真は子供の汚い落書きのように見えるかもしれないが、少し我慢して読んでいただきたい。

右サイドでボールを拾ったベララビは、ヘディングで競ったFWキースリング(前方の青い線)が追い越して、ロングラインにパスコースを作るまでタメを作る。縦に早いとはいえ、パスコースを作るための移動の時間は必要なのだ。ロングラインの後方にはヘディングで競ったもうひとりのボランチのベンダー(後方の青い丸)がサポートに回る。

前編で見た、ボールを囲むように位置を取っていた4人の位置関係は変わらない(赤い線)。別アングルで見ると、次のようになる。

キャプチャ5

この変わらない4人の位置関係、距離感が何を意味するのかといえば、それがパスコースを作りつつ、同時に、プレッシングを仕掛けるための網を張るための適切な距離感だということになる。

白い線はパスコースだ:

1.ヘディングで競った後に追い越して上がった、ロングラインに走りこんだFWのキースリング(青い丸)

2.ヘディングで競った後にサポートに回ったベンダー(青い丸)

3.ボランチのもう一枚で、セカンドボールを拾う準備をしていたクラーマー

4.前線で相手DFライン上で準備していたメメディ

5.ポジションチェンジして、左サイドに残っていたチャルハーノルへのダイアゴナルのパス(別アングルで見ると有効とはいえない)

 

黒い線は仮にベララビのところでボールが引っかかってしまったときにプレッシングを仕掛けるための網だ。

1.キースリングとメメディで後方へのパスコースを遮断

2.ベララビとキースリングによるボール保持者へのファーストプレッシャー

3.メメディ、クラーマー、ベンダーによるファーストプレッシャーをかいくぐられた時のためのセーフティネット

4.3.をかいくぐられたときのセーフティネット

という4重の構造になっている。

 

とはいえ、ラツィオが攻撃のトランジションで上回り、3番目の網をかいくぐり、間延びした3.と4.のラインの間を使われたたときは、何度かチャンスを作られており、このやり方のメリットとデメリットを知った上で、リスクを取った上での攻撃だということがうかがえる。