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ディフェンスの”インテンシティ”とは?(後編)

例:ディフェンスラインのコントロール

29. August 2016

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前回はインテンシティとは何か、という話で終わってしまった。

ざっくり言って「濃さ」だ、という話をした。

今回はサッカーの文脈でこの「濃さ」について話をしたい。

 

ディフェンスのインテンシティということで、当たりの強さや激しさといったことも当然考えられる。というのも、それは「フィジカルコンタクトのインテンシティ」だからだ。簡単にいえば「濃いぶつかり合い」ということだ。

もっと詳しく見ていけば、それは頻度(回数)の問題なのか、衝撃の強さなのか、というふうに細分化できるが、ここでは問わない。

 

上の写真にあるように、今回はディフェンスラインのコントロールの話だ。

これはリオ五輪の日本代表対コロンビアの1失点目の直前のシーン。

 

赤はこのシーンのオフサイドライン。写真に入っていないが、左サイドバックの選手がいるラインだ。

黄色は本来なら4人が揃っていなければならない高さのライン。

 

基本的に相手にペナルティエリア内に入られたら、ディフェンスはできることが限定されるため、後手に回らざるを得ない。そのため、本来ならディフェンスラインは常にペナルティエリアの外にラインを設定しなければらない。

 

3メートルラインを上げるだけで、ゴール前のペナ幅121平方メートルのスペースを圧縮できる。この失点の場合は、もっと広い。少なく見ても160㎡のスペースをゴール前のペナ幅内にプレゼントしていることになる。

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こういったラインの上げ下げ、オフサイドの駆け引き、常にペナルティエリア内をクリアにしておく習慣、そういったもの全てをひっくるめてディフェンスのインテンシティ、濃いディフェンスと言える。言葉を変えれば、緻密なディフェンスとも言える。

 

戦術理解度の濃さ(習慣化・蓄積)、集中力の濃さ、実行し続ける体力の濃さ、駆け引き・狡猾さといった機転を利かせる濃さ、そういったもの全てを掛け合わせて出来上がるのがディフェンスのインテンシティだと言える。

 

どれが欠けても、緩いように見えてしまう。緩い守備というのは、当たりの強さや激しさが足りないことだけを指すわけではない。言ってしまえば、緻密さに欠けているということ